診療支援
治療

足関節・足部の骨折
management of fractures around foot and ankles
原田将太
(福島県立医科大学講師・外傷学)

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治療のポイント

・疼痛部位と受傷機転を詳細に聴取することで,ある程度損傷部位と程度を推察できる.

・足関節・足部は軟部組織が薄く血流の乏しい部位であり,腫脹の程度によって初期治療方針が変わる可能性がある.

・骨が露出した開放骨折や足関節脱臼骨折,腫脹が著しい転位の大きい骨折では,確定的手術の前に,軟部組織の腫脹軽減目的に一時的創外固定骨折治療術を要することがある.

 足関節・足部の骨折すべてを網羅することは紙面の都合上できないため,ここでは代表的な足関節果部骨折,ピロン骨折,踵骨骨折の3つの骨折について記載する.

Ⅰ.足関節果部骨折

◆病態と診断

A病態

・足関節を捻った結果生じる骨折型である.

・捻り方により骨折する部位や靭帯損傷の部位が変わるが,特に足関節を回内強制された受傷機転の場合は,腓骨近位部骨折や脛骨腓骨間膜の損傷が生じる可能性がある.

B診断

・視診上明らかな変形や腫脹がある場合は,骨折部の転位が大きいか,足関節の脱臼や亜脱臼を伴うことがある.一方で受傷後も歩行可能な安定型の症例も存在し,歩行可能だからといって必ずしも骨折がないとはいい切れない.受傷からしばらく経過して受診する症例もある.

・詳細がはっきりしない場合も多いが,まずは詳細に受傷機転を聴取し,腫脹や圧痛部位と合わせて骨折型を推測し,足関節単純X線写真2方向(正面/側面)を撮像して(図1)診断する.

・いわゆる捻挫の受傷機転であっても足関節だけでなく,第5中足骨基部や腓骨近位部など膝に近い部位に骨折が生じることもあり,特に受傷機転がはっきりしない場合は,圧痛が足部や下腿近位にないか確認し,必要に応じて足部や下腿の条件で単純X線写真を撮像する.疑わしい場合はCTやMRI精査が必要となる場合もある.

◆治療方針

 疼痛管理と腫脹軽減のため,膝下から足部までシーネ固定を行い,挙上を指示する.果部骨折は関節内骨折であり,

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