診療支援
治療

外反母趾
hallux valgus
張 成虎
(地域医療機能推進機構東京新宿メディカルセンター・整形外科医長)

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GL外反母趾診療ガイドライン2022 改訂第3版

治療のポイント

・靴の指導,運動療法,装具療法などの保存療法で除痛効果を期待する.

・重度の外反母趾は保存療法では根治的な矯正は期待できない.

・保存治療抵抗性の疼痛,皮膚障害をきたす症例は手術療法の適応となる.

◆病態と診断

A病態

母趾中足趾節(MTP)関節で母趾が外反して,内側が突出した状態を外反母趾という.

・母趾MTP関節の外反と内側支持機構の弛緩,第1中足骨の内反,扁平足,開張足,母趾の回内,母趾種子骨の偏位などの病態が相互に影響し合って発症しているものと考えられている.

・原因はいまだに不明な点が多いが,遺伝,靴の環境,性別(女性に多い),全身関節弛緩,炎症性疾患(関節リウマチなど)などが関連しているといわれている.

B診断

・一般的に荷重位足部正面X線画像が用いられる.母趾基節骨軸と第1中足骨軸のなす角である外反母趾角度(HV角)で評価することが一般的である(図1).

・外反母趾の重症度分類として統一された見解はないが,「外反母趾診療ガイドライン」ではHV角が20~30度未満を軽症,30~40度未満を中等症,40度以上を重症と定義している.

・①バニオン部の発赤,腫脹,圧痛,②母趾MTP関節の内側への突出による内側足背皮神経の刺激に伴う痛み,③第2趾の母趾への乗り上げ,④第2,3趾の槌趾変形やMTP関節底側の有痛性胼胝(いわゆる「たこ」)などの臨床所見を呈する(図2).

◆治療方針

A保存治療

1.靴の指導

 toe-boxが広く足趾の運動を妨げない,ヒールの低い靴を勧める.また,中足部を安定化させるために,紐やストラップで固定することのできる靴を勧める.

2.装具療法

 足部の縦アーチ,前足部の横アーチを矯正し,有痛性胼胝を除圧するためにアーチサポートとメタターサルパッドを調整した足底挿板を作製する.母趾を内反位に矯正するt

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