診療支援
治療

アキレス腱断裂
Achilles tendon rupture
眞田高起
(労働者健康安全機構関東労災病院・スポーツ整形外科部長(神奈川))

頻度 よくみる(人口10万対年間31~35件)

GLアキレス腱断裂診療ガイドライン2019 改訂第2版

ニュートピックス

・手術療法においては術後即時早期荷重,早期可動域訓練により良好な治療成績が報告された(J Foot Ankle Surg 61:604-608,2022).

・保存療法と手術治療の比較研究において,再断裂率は保存治療が高いものの,機能回復は差がなかったとの報告がなされた(N Engl J Med 386:1409-1420,2022).

・長期固定は再断裂のリスクファクターである(KSSTA 30:2457-2469,2022).

・3週間のギプス固定から治療を開始したものと,初めから装具のみで治療を開始した方法において,両者の治療成績に差はなかった(Foot Ankle Surg 29:56-62,2023).

治療のポイント

・アキレス腱断裂は,肉離れや足関節捻挫などと誤診される見逃し症例が少なくない.

・初診時に確かな診断のもとに適切な治療を開始しないと,治癒不全に陥り機能回復不良となりうる.

・したがって,本疾患を念頭におくことが重要であり,念頭におけば診断は容易である.

・治療は保存治療と手術治療に大別される.整形外科医により治療方針が異なるが,アスリートには手術治療を選択することが多い.

・再断裂率は手術治療のほうが低く(1~5% vs 3~13%),再断裂以外の合併症は保存治療のほうが低い(0~13% vs 4~18%)(medicina 58:1195,2022).近年では早期運動療法による保存治療は再断裂率を低下させ,低侵襲手術は術後合併症発生率を低下させうると報告されている.

◆病態と診断

A病態

・運動中や転倒時に踵を踏み込み,アキレス腱に急激な遠心性収縮が加わる.その張力が腱破断強度を超えることにより断裂する.

・経年的な腱変性を起こし,コラーゲン量の減少と含水

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