診療支援
治療

先天性側弯症
congenital scoliosis
藤本 陽
(静岡県立病院機構静岡県立こども病院・整形外科医長)

頻度 あまりみない

治療のポイント

・先天性側弯症にはさまざまな種類があり,それらの正確な進行時期や予後の予測は困難である.

・診断後早期に小児脊椎外科の経験がある医師へ紹介することが望ましい.

◆病態と診断

A病態

・椎骨は胎生6週頃に形成されるが,形成不全や分節異常を原因としてさまざまな脊椎の形態異常が起こる.この総称が先天性側弯症であり,異常椎骨の種類と高位により進行度はさまざまである.

・側弯は5歳以前と思春期に進行しやすく,胸腰椎部カーブが上位胸椎カーブより進行しやすい.

・早期に進行する場合には呼吸不全をきたす(胸郭不全症候群).

B診断

・立位が取れる患者では立位全脊椎X線2方向で評価する.診断は比較的容易だが,詳細な形態はCT検査による3D再構成が有用である.また,キアリ奇形や脊髄空洞症,脊髄係留など硬膜管内病変を合併する割合が高いため,全脊髄MRIの施行を検討する.

・VATER連合(vertebral anomaly:椎骨の異常,anal atresia:肛門の異常,tracheal-esophageal abnormalities:食道・気管の異常,renal abnormalities:腎臓の異常,radial abnormalities:橈骨の異常)やVACTERL連合(VATER連合に加えてcardiac defects:先天性心疾患やlimb abnormalities:四肢形成不全)の合併に留意する.

・肋骨癒合を伴う脊椎肋骨異骨症(SCD:spondylocostal dysostosis)や,Klippel-Feil症候群の一症状である可能性がある.

◆治療方針

A保存療法

 側弯は硬く,装具治療の効果は限定的である.手術介入の時期を遅らせる目的で幼児期より体幹ギプスによる矯正を行う場合がある.

B手術療法

 早期に進行する場合には成長温存手術を行う.肋骨にアンカーを取り

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