診療支援
治療

ロコモティブシンドローム
locomotive syndrome
藤原清香
(東京大学准教授・リハビリテーション医学)

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治療のポイント

・若年であっても運動機能の低下が生じはじめていることがある.

・特に合併疾患や障害がある場合は,これに起因する運動機能の低下を生じやすく,専門医の受診を含め注意深く観察し評価する必要がある.

・運動機能低下によって何が問題になるのか患者や家族が理解できるように説明し,問題意識をもって取り組めるよう促す.

・毎日少しずつでも,継続して「片脚立ち」や「スクワット」などのトレーニングを実施することが推奨される.

・運動習慣がなく,たまにの運動であったとしても,移動機能の維持には役立つ可能性があるので,環境やコミュニティも利用して運動機会を確保していくよう指導する.

◆病態と診断

A病態

・ロコモティブシンドローム(ロコモ)は,運動器症候群ともいわれ,運動器の障害のために立ったり歩いたりするための身体能力の低下を生じ,移動機能低下をきたした状態のことをいう.

B診断

・運動機能テストであるロコモ度テストには「立ち上がりテスト」,「2ステップテスト」があり,さらにロコモ問診票(25項目の質問)を用いて詳しい内容や痛みの出る部位などを確認し,日常的な運動機能や生活場面での活動性を評価しロコモ度1,ロコモ度2,ロコモ度3を診断する.

◆治療方針

 ロコモに対する治療と対策として,生活習慣や食習慣の見直しが大切である.また同時にロコモーショントレーニング(ロコトレ)()として開眼片脚立ち,スクワット,ヒールレイズやフロントランジなどが予防のために推奨され,運動機能測定値の改善が期待できる.これらは,健康寿命の延伸と要介護度を上げない取り組みとして活用できる.

 ロコトレは,①足腰の筋力強化,②バランス能力向上,③膝や腰への負担軽減を目的として実施する.ロコモ度1,2,3はそれぞれ運動機能レベルが異なるため,ロコトレの実施方法も異なる.個々の患者のレベルや運動機能に合わせて,負担の少な

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