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GL小児膀胱尿管逆流(VUR) 診療手引き2016
治療のポイント
・小児の有熱性尿路感染の原因として鑑別すべき病態で,逆流の重症度,尿路感染の状況,腎機能,年齢などから治療プランが立てられる.
・原発性膀胱尿管逆流(VUR)は自然軽快する症例があり,まずは保存的・内科的治療が開始される.
・内科的・保存的治療で不十分な場合や解剖学的異常による場合は,手術療法が行われる.
・続発性VURでは,原疾患の治療を行うことでVURをコントロールする.
◆病態と診断
A病態
・VURは膀胱内に貯留した尿が,尿管,腎盂・腎杯,腎内へ逆流する現象である.
・病因には,膀胱尿管接合部の逆流防止機能の脆弱(原発性VUR)と解剖学的異常,神経障害などによる下部尿路機能性障害(続発性VUR)がある.
・乳幼児の原発性VURでは,成長に伴う高圧膀胱の軽快や排尿機能の確立に伴い自然軽快する症例がある.
・先天性腎尿路疾患(CAKUT:congenital anomalies of kidney and urinary tract)に合併する頻度が高く,遺伝子異常は病因の1つと考えられている.
・家族内発生もある.
・腎実質障害を伴う逆流性腎症(RN:reflux nephropathy)は,腎瘢痕を呈し,腎障害は不可逆性,進行性で末期腎不全に進展するリスクがある.
・VURは排尿・排便障害(BBD:bladder and bowel dysfunction)と関連する.
B診断
・小児の有熱性尿路感染症であれば,VURを鑑別する.
・排尿時膀胱尿道造影(VCUG:voiding cystourethrography)でVURの有無と下部尿路評価が行われ,逆流の重症度はGrade 1~5に分類され,診療方針の参考にされる.
・無症状であっても,胎児エコーで水腎・水尿管を指摘されている場合,検診などの超音波エコーで腎尿路