診療支援
治療

過活動膀胱
overactive bladder(OAB)
橘田岳也
(旭川医科大学准教授・腎泌尿器外科学)

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GL過活動膀胱診療ガイドライン[第3版](2022)

ニュートピックス

・ガイドラインが7年ぶりに改訂され,難治性過活動膀胱に対する治療法や,新しいエビデンスが記載された.

治療のポイント

・行動療法は必ず行うべきである.

・薬物療法は治療の根幹をなす.

・治療前後に残尿測定をする.

・治療抵抗性の難治性過活動膀胱が存在する.

◆病態と診断

A病態

尿意切迫感(突然起こる,我慢できないような強い尿意であり通常の尿意との相違の説明が困難なもの)を必須とした症状症候群である.

B診断

切迫性尿失禁がない場合でも尿意切迫感があり,頻尿や夜間頻尿がある.

・過活動膀胱症状スコアによる診断を行う().

◆治療方針

 行動療法を先行し,内服薬による治療を行う.

A行動療法

 水分過剰摂取の是正,排便コントロール,生活習慣病是正の運動と食事療法,膀胱訓練,骨盤底筋訓練などがある.

B薬物療法

 副作用の少ないβ3 作動薬がファーストラインとなった.β3 作動薬と抗コリン薬の作用機序は異なるため,2種の薬剤を併用する.β3 作動薬で治療開始した場合は抗コリン薬を上乗せする.抗コリン薬で治療開始して効果不十分の場合も同様であるが,副作用がある場合は抗コリン薬を減量してβ3 作動薬を上乗せする.

1.β3 作動薬

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)ミラベグロン(ベタニス)錠(50mg) 1回1錠 1日1回

2)ビベグロン(ベオーバ)錠(50mg) 1回1錠 1日1回

Px使い分けのポイント

・1)と2)のうち,2)に関しては生殖年齢に処方するうえでの制約がないメリットがある.

不適切処方 ミラベグロンは,生殖可能な年齢の患者への投与は避ける.

2.抗コリン薬

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)プロピベリン(バップフォー)錠(20mg) 1回1錠 1日1回.効果不十分な場合20mgを1日2回まで増量可能

2)コ

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