Ⅰ.包茎,嵌頓包茎
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治療のポイント
・小児の包茎は,無症状の場合は治療を要しないことが多い.
・嵌頓包茎では早期治療を要することがあり,用手整復が困難であれば泌尿器科への紹介が必要である.
◆病態と診断
A病態
・亀頭を包皮外板が完全に被っている状態を包茎といい,包皮輪が狭く用手的に包皮の翻転ができず亀頭が露出できない状態を真性包茎とよぶ.
・乳児期は亀頭と包皮内板の生理的癒着により,多くの児が生理的真性包茎であり,成長とともに翻転可能となり,思春期以降での真性包茎の頻度は5%以下である.
・真性包茎に無理な包皮翻転を行い,狭い包皮輪の絞扼により亀頭部の循環障害をきたした状態が嵌頓包茎であり,疼痛と著明な浮腫を伴う.
B診断
・包茎は視触診により診断する.
・嵌頓包茎は包皮や亀頭の腫脹,疼痛,変色などがみられる.
◆治療方針
嵌頓包茎,繰り返す亀頭包皮炎や尿路感染,排尿障害,閉塞性乾燥性亀頭包皮炎,思春期以降での真性包茎などが治療対象となる.小児の包茎は思春期までに亀頭と包皮の癒着が改善されるため,多くが治療を要しない.
A保存的治療
ステロイド外用薬塗布が有効である.
Px処方例
ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロン-V薬)軟膏 1日1~2回 塗布 1~3か月間保外
B外科的治療
感染を繰り返す,排尿障害を認める場合は環状切除術を考慮する.嵌頓包茎ではまずは用手整復を試み,改善が得られなければ緊急処置として包皮背面切開や環状切除術を施行する.
1.用手整復
疼痛に配慮したうえで,両手の示指と中指で腫脹した包皮輪を把持し手前に引きながら,親指で亀頭部を押し込む.
2.包皮背面切開術
包皮輪の12時方向を縦切開して亀頭を還納し,横縫合を行う.
3.環状切除術
亀頭部が露出するよう包皮を全周性に環状切開する.
■専門医へのコンサルト
・嵌頓包茎では早期治療を要するため,疼痛や浮腫が強く用手整復が困難で