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GL泌尿器外傷診療ガイドライン2022年版
ニュートピックス
・従来治療指針がなかったが,標準治療を示すガイドラインが発行されつつある.
治療のポイント
・前立腺肥大や過活動膀胱との鑑別は,泌尿器科専門医にとっても難しい場合がある.
・内視鏡下切開やブジーなどの経尿道的治療はほとんどの泌尿器科医が施行可能だが,再発例も多く適応症例を限定するべきである.
・開放手術による尿道再建手術には,吻合型手術と口腔粘膜などの代用組織利用手術がある.尿道狭窄症の永続的な治癒が可能だが,施行可能な施設は限られる.
◆病態と診断
A病態
・尿道の一部が狭窄して排尿障害をきたす病態で,大部分は男性に発生する.
・排尿障害や尿閉が主徴であるが,失禁などの蓄尿障害や尿路感染症で発症する場合もある.
・男性尿道は,遠位側より,亀頭部,陰茎部,球部,膜様部に分類されるが,球部が最多である.
・原因は多彩で原因不明の狭窄も多い.発展途上国では尿道炎後の狭窄も多いが,先進国で頻度が高いのは医原性と外傷性である.
・医原性狭窄の原因は尿道カテーテル挿入や経尿道手術での膀胱鏡操作が多く,放射線治療関連のものもある.高齢化社会の到来とともに増加が予想される.
・亀頭包皮の硬化性苔癬に伴う狭窄や,小児期の尿道下裂手術後の形成尿道が成人期に狭窄することもある.
B診断
・尿道カテーテルが挿入できない場合には強く疑う.
・一般泌尿器科医では,尿道内視鏡がスクリーニングには有用.
・専門医師のもとでは,重症度や局在の正確な診断のために尿道造影を施行する.
◆治療方針
一般内科医に可能な治療はない.前立腺肥大症としての初期薬物療法に反応しない排尿障害は泌尿器科医師にコンサルトする.
経尿道的に治癒可能なのは球部,初発,単発,2cm未満の非外傷性狭窄のすべてを満たす場合だけである.
!不適切処方 排尿困難のアセスメントがない状態での過活動膀胱治