診療支援
治療

性機能障害(勃起障害)
male sexual dysfunction(erectile dysfunction:ED)
中島耕一
(東邦大学教授・泌尿器科学)

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GLED診療ガイドライン(第3版)(2018)

ニュートピックス

・2022年3月以降,実質的に購入不可能であった厚生労働省による管理医療機器の認可を受けた陰圧式陰茎勃起補助具の製造・販売が再開されて入手可能となった.

・2022年4月以降,不妊治療としてのホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬使用の保険適用が認可された(「治療方針」A処方例の「注意」を参照).

治療のポイント

・第1選択薬はPDE5阻害薬である.

・加齢男性性腺機能低下症(LOH症候群)としてのEDにおいては,PDE5阻害薬の使用以外にテストステロン補充療法を考慮する.

・いわゆる生活習慣病をはじめとするEDのリスクファクターに対しての生活指導も有用である.

◆病態と診断

A病態

・原因により,器質性,心因性,混合性に分類される.

・主たる末梢での勃起発現の機序は,一酸化窒素(NO)が関与するcGMPを介した経路(PDE5阻害薬の作用機序)か,NOが関与しないcAMPの経路〔プロスタグランジンE1(PGE1)の作用機序〕を介して陰茎海綿体の平滑筋が弛緩することにある.

B診断

・問診で容易に診断が可能である.治療効果評価に質問票〔男性用性健康調査票(SHIM:Sexual Health Inventory for Men),勃起の硬さスケール(EHS:Erection Hardness Score)〕を利用するのも有効である.「ED診療ガイドライン(第3版)」の診断アルゴリズムに準じる.

◆治療方針

 EDは加齢現象ではなく治癒可能な疾患であるとの認識が大切である.

 まず生活習慣病をはじめとする対応可能なリスクファクターを除外する.原因分類にかかわらず治療の第1選択はPDE5阻害薬の投与である.

 PDE5阻害薬での効果が不十分な場合は泌尿器科専門医に紹介する.その際には一度服薬指導を試みる.また心因性の要因が強ければ心療

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