診療支援
治療

長期尿道留置カテーテル患者のケア
care of patients with chronic indwelling urethral catheter
粕谷 豊
(東京都健康長寿医療センター・泌尿器科部長)

治療のポイント

・尿道カテーテル長期留置は,尿路感染,膀胱機能廃絶,萎縮膀胱などを招くため可能な限り避けるべきである.しかし機能障害の回復が見込めない場合や,特に認知症の患者で治療や介護に支障がある場合,尿と便の分離によるオムツ内の感染・褥瘡などの予防,介護負担の軽減など,総合的にメリットが大きいと判断される際は考慮される.

A感染

 カテーテル長期留置は慢性膿尿が必発だが,流出が保たれていれば重症感染リスクは低い.

 重症尿路感染を疑う場合,他の熱源検索と同時に,流出状態や腹満所見,膀胱エコーなどでカテーテル閉塞や尿流出停滞の有無を確認する.

B結石

 感染と異物反応により膀胱内やカテーテル表面に結石が発生し,カテーテル閉塞の原因となる.

 結石予防にクエン酸内服が効果を発することがある.

Px処方例

 クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム(ウラリット)配合錠 1回1~2錠 1日3回保外

C交換・挿入時のトラブル

 長期的留置患者のカテーテル交換で挿入困難をきたす場合,尿路の狭窄が原因であることは少ない.主にはゼリー不足であるが,患者が緊張・興奮・抵抗などにより括約筋を絞扼している場合がある.その際に,無理な挿入,中途半端な挿入での尿道内バルーン拡張にて尿道損傷に至ることがある.

 交換時に血尿をきたすことがあるが,問題なくカテーテル挿入がはたされ,尿として流出していれば,経過観察で収束する場合が大半である.

D尿道褥瘡

 カテーテルと尿道の慢性的な接触,擦過により,構造が薄い尿道腹側が尿道口から裂け,尿道下裂状態となる.医学的に実害は少なく美容的問題が主であるが,外科的修復は困難であり膀胱瘻に移行する症例もある.

E紫色蓄尿バッグ症候群(purple urine bag syndrome)

 便秘などで糞便中のインドール吸収が促進され,肝代謝を経てインジガンとして尿中に排泄される.これが尿中細菌によ

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