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◆病態と診断
・紫斑(purpura)とは皮膚内への出血を反映した紫色を呈する皮疹である.
・3mm以下の出血斑は点状出血(petechia),10mm以上の大きい出血斑は斑状出血(ecchymosis)と区別される.
・紅斑は血管拡張や血管の増生による赤血球成分の増加による色調変化であるため硝子板で圧迫すると消退するが,紫斑は赤血球が血管外漏出をしているため硝子板で圧迫しても消えることがなく,鑑別に有用である(硝子圧法).
・硝子板での圧迫に加えて触診を行い,「浸潤を触れる紫斑(palpable purpura)」の場合は血管炎の存在が強く疑われる.
・紫斑形成の原因として以下A~Cに示す3つの機序がある.
A血管の破綻による紫斑
1.血管炎による紫斑
a.IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)
・上気道感染後に,下腿を中心にpalpable purpuraが播種状に生じる.
・紫斑のできはじめは紫色ではなく鮮紅色を呈するが,硝子圧法で鑑別可能である.
・小児例が多いが,成人例もみられる.
b.ANCA関連血管炎
・p-ANCA,c-ANCA陽性で主に下肢にpalpable purpura,斑状出血を生じる.
c.クリオグロブリン血症性血管炎
・寒冷曝露などによりクリオグロブリンが生じ小血管に沈着し血管炎が惹起される.
・下肢にpalpable purpuraが生じる.
2.血管の脆弱性による紫斑
a.単純性紫斑
・若年女性の下肢にみられる点状出血.
・紫斑は自然消退するが,繰り返すことが多い.
b.老人性紫斑
・加齢による血管支持組織の脆弱化により,ごく軽度の外的刺激により生じる斑状出血.
c.ステロイド紫斑
・ステロイドの長期内服や外用により手背・前腕・下腿に生じる斑状出血.
・老人性紫斑と病因・症状が類似.
3.蛋白異常症による紫斑
a.高γグロブリン血症性紫斑
・関節リウマチ,シェーグレン症候群な