頻度 ときどきみる
治療のポイント
・数週間以内に消退する疾患であり,対症療法を主体とした治療を行う.
・安静と下肢挙上が重要.
・必要に応じて基礎疾患の検索を行う.
・感染症が誘因の場合は抗菌薬の投与を行う.
・重症例ではステロイドの内服を行うこともあるが,安易な投与は避ける.
◆病態と診断
A病態
・主に下腿前面に生じる,皮下に硬結を伴う紅斑を特徴とする最も一般的な非感染性の脂肪織炎である.
・病因のほとんどは特発性であり,さまざまな抗原刺激に対する過敏性反応であると考えられている.
・溶連菌感染症,結核,サルコイドーシス,ベーチェット病,炎症性腸疾患,薬剤投与,妊娠などに伴って生じることもある.
・数日間続く前駆期に続いて,下腿や膝,大腿などに両側性に数個の自発痛を伴う紅斑が出現する.
・通常2週間程度で自然に消退するが,皮疹が出没して2か月ほど症状が遷延することもある.
・経過を通じて壊死や潰瘍化,瘢痕化することはない.
B診断
・臨床症状のみで診断がつくことが多いが,皮膚生検を行って診断をつけることもある.
◆治療方針
全例で原因を検索する必要はないが,病歴や経過などから必要に応じて上記疾患などの検索を行う.通常2週間程度で自然消退する疾患であり,特に薬物療法を行わなくとも,安静,下肢挙上で軽快することも多い.
疼痛や発熱に対して対症的に非ステロイド性消炎鎮痛薬内服を行い,ステロイドの全身投与やコルヒチンの投与が行われることもある.上気道感染に続発する場合は抗菌薬の内服を併用する.
A軽症~中等症例
ロキソプロフェンやジクロフェナクナトリウムを処方することが多いが,結節性紅斑に対して保険適用があるのはイブプロフェンとインドメタシンである.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.