診療支援
治療

表皮水疱症
epidermolysis bullosa
夏賀 健
(北海道大学大学院准教授・皮膚科学)

頻度 あまりみない

ニュートピックス

・遺伝子検査がかずさ遺伝子検査室で開始され,報告書対象遺伝子であるCOL7A1のほか,ほとんどの原因遺伝子が検査対象遺伝子となった.

治療のポイント

・対症療法が基本であり,症状に応じた外用薬ならびに被覆材を選択する.

・栄養障害型および接合部型表皮水疱症では,自家培養表皮移植を検討してもよい.

・病型に応じて多彩な合併症を呈するため,正確な診断が必要となる.

◆病態と診断

A病態

・表皮水疱症は,基底膜領域蛋白の先天的機能不全によって,全身の皮膚にびらんや水疱を繰り返す疾患群である.

・水疱形成レベルに従って,単純型・接合部型・栄養障害型・キンドラー型に分類される.

・重症度が中等症以上の表皮水疱症は,厚生労働省指定難病医療費助成制度に申請できる.

・後天性表皮水疱症は自己免疫性疾患であり,表皮水疱症とは全く別の疾患である.

B診断

・先天的に皮膚が脆弱で,びらんや水疱を繰り返している場合には本疾患を疑う.

・遺伝子解析が診断に有用である.

◆治療方針

 出現する水疱・びらんへの対症療法が基本となる.症状に応じた被覆材の選択に病院が指導を行った場合,月に1回,在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料を算定でき,これに基づいてガーゼやテープ,注射針などの一般医療材料を患者に支給する.この際,多くの被覆材は特定保険医療材料として別途算定可能であり,次回受診までに必要な量を支給できる.

A被覆材

Px処方例 下記を適宜組み合わせて支給する.

1)メピレックスライト 1日1回 貼付

2)メピレックスAg 1日1回 貼付

3)アクアセルAg 1日1回 貼付

B外用療法

Px処方例

 白色ワセリン 1日1~2回 単純塗布

C自家培養表皮移植

 復帰変異モザイクとは,遺伝子異常が体細胞レベルで自然修復される事象を示し,表皮水疱症患者皮膚でしばしば観察される.復帰変異モザイク皮膚が臨床的に明らかな症例では,同部

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