治療のポイント
・診断が重要.
・合併症などで一般にあげられているものについての精査はできるだけ施行する.
・長期の経過をたどる症例においては,複数回の組織学的検査を検討する.
◆病態と診断
A病態
・四肢,体幹に,多角形の扁平隆起する紫紅色調の丘疹を形成する角化異常を伴う,慢性に経過する炎症性皮膚疾患である.口腔,陰部など粘膜にも好発し,難治性びらん,潰瘍を形成する.
・脱毛,爪の萎縮・脱落などの臨床症状を呈するものもあり,QOLは多大に障害される.
B診断
・多角形の中央がやや凹んだ形で扁平隆起する紫紅色調の丘疹の存在は,皮膚病変として特徴的である.多くは瘙痒を伴い慢性に経過する.爪甲の白濁,肥厚,萎縮,脱落,毛髪部における暗紫紅色で軽度光沢のある脱毛斑はしばしば経験される.粘膜病変として,多くは乳白色の細かい網の目状ないしレース状の線状病変をみることが多いが,時に輪状,放射線状,さらに円形ないし楕円形の斑を呈する.びらん,潰瘍,萎縮,水疱を伴うこともある.
・これら臨床症状から本疾患を疑い,病理組織検査を行い,苔癬型反応ならびに,表皮(粘膜上皮)細胞に明らかな異型を認めないことを確認する.
◆治療方針
皮膚局所に病変がとどまる場合には,まずステロイド外用薬の使用が推奨される.口腔粘膜病変に対しては,口腔内保清を基本とし,まず,ステロイド外用薬使用が推奨されるが,効果不十分であるときにはステロイド薬やレチノイドの全身投与が保険適用である.なお,免疫抑制薬含有軟膏は保険適用外である.金属アレルギーや肝炎ウイルス(HCV)の合併が報告されており,これらに対する精査,さらには必要に応じて対策を行う.長期の経過をたどる例では,複数回の組織学的検査を積極的に検討し,異形細胞の有無を確認する.
Px処方例 下記の薬剤を症状に応じて適宜用いる.
1)ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート薬