Ⅰ.皮膚結核
治療のポイント
・通常の肺結核に準じて抗結核薬を投与する.耐性菌の出現を防ぐため,感受性のある薬剤を3~4剤併用する.初期の強化療法と維持療法を確実に行うことが重要である.
◆病態と診断
A病態
・結核菌〔Mycobacterium(M.)tuberculosis〕またはその菌体成分に対するアレルギー反応(結核疹)によって生じる皮膚病変である.内臓病変からの血行性散布や皮膚への直接接種で生じる.結核疹では通常病変部に結核菌は認めない.
B診断
・連続性のある皮下結節や膿瘍の形成,炎症所見に乏しい下腿の暗紅斑・硬結などから本疾患が鑑別にあがる.病巣からの結核菌の証明(塗抹染色,分離培養,PCR検査)が確定診断につながる.
・病理組織では,乾酪壊死を伴う肉芽腫性病変,ラングハンス(Langhans)巨細胞などが特徴的である.クォンティフェロン検査も診断の一助となる.
◆治療方針
結核疹を含めて中長期的な薬物療法が中心となる.感受性のある薬剤を3~4剤併用し,皮疹消退後も数か月間は内服を継続する.
A内服療法
Px処方例 4剤併用療法として1)~4)を2か月間内服(強化療法)後,1)と2)を4か月間内服継続(維持療法).1)による末梢神経障害予防として5)を強化療法開始時より6か月間併用する.
1)イソニアジド(イスコチン薬)錠(100mg) 1回3錠 1日1回 朝食後
2)リファンピシン(リファジン薬)カプセル(150mg) 1回3カプセル 1日1回 朝食後
3)エタンブトール(エサンブトール薬)錠(250mg) 1回3錠 1日1回 朝食後
4)ピラジナミド(ピラマイド薬)原末 1回500mg(成分量として) 1回1錠 1日3回 毎食後
5)ピリドキサール(ピドキサール薬)錠(10mg) 1回1錠 1日3回 毎食後
!注意 投与にあたって,日本結核病学会の「結核診療ガイドライン」を参考とする.
■専
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