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GL日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版
GL男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
ニュートピックス
・重症かつ難治性の円形脱毛症の経口治療薬としてJAK1/2阻害薬であるバリシチニブが2022年6月に保険適用追加となり,JAK3・TECファミリーキナーゼ阻害薬であるリトレシチニブトシル酸塩が2023年9月に発売開始となった.
治療のポイント
・脱毛のパターンで診断することが多いが,逆にパターンに頼りすぎると誤診する可能性がある.円形脱毛症と抜毛症の合併や頭部白癬などに注意.
・医療者は脱毛症の重症度を脱毛面積のみで評価しがちであるが,心理的負担や学校・社会生活への影響度も疾病負荷となりうる.
・男性型脱毛症の内服治療薬には多種のジェネリック医薬品が登場している.
・円形脱毛症の軽症例では自然軽快が期待できる一方,重症型では難治となりうる.専門施設に紹介するタイミングに関して適切な判断が大切である.
・重症円形脱毛症の新規治療薬としてバリシチニブが承認されたが適応基準があり,日本皮膚科学会の安全使用マニュアルに沿った使用が望まれる.
◆病態と診断
A病態
・脱毛症は,毛をつくる小器官である毛包が破壊され脱毛するものと,毛周期の異常により脱毛するものに大別される.
・男性型脱毛症は男性ホルモンの影響により毛周期の加速化,毛包のミニチュア化により疎毛となる.
・女性型脱毛症では男性ホルモンの影響は少なく,病態は単一ではない.
・円形脱毛症は,毛を伸ばす成長期にある毛包の根元(毛球部)に対する自己免疫応答に起因する.
・重症円形脱毛症ではサイトカインループによる自己免疫応答が遷延しており,その下流にはJanus kinase(JAK)が存在する.
・頭部白癬など感染症でも脱毛は生じる.また特殊な脱毛症として炎症により毛包幹細胞が障害され永久脱毛が生じる瘢痕性脱毛症があ