診療支援
治療

月経前症候群
premenstrual syndrome(PMS)
寺内公一
(東京医科歯科大学教授・茨城県地域産科婦人科学講座)

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GL産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023

ニュートピックス

・PMSと月経前不快気分障害(PMDD)は元来別々の疾患概念であるが,International Society for Premenstrual DisordersはPMSやPMDDを含めた月経前の不調を包括的にpremenstrual disorders(PMDs)と定義している.

治療のポイント

・患者の病態に最も適する漢方薬を選択する.

・ドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合錠(DRSP/EE)や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの薬物療法を行う.

・各種治療では改善が認められない場合,GnRHアゴニスト/アンタゴニスト・黄体ホルモン療法や,外科的治療があることを説明する.

◆病態と診断

A病態

・PMSの詳細な病態はいまだ不明であるが,平均的には月経6日前頃から多様な身体精神症状が増悪して月経2日前頃にピークを迎え,月経開始とともに軽快することから,黄体ホルモンが関与することが推察されている.

・プロゲステロンの代謝物アロプレグナノロンがGABAA 受容体に正のモジュレータとして作用することやセロトニン系を調節することが報告されており,病態に関与している可能性がある.

B診断

・日本産科婦人科学会ではPMSを「月経前3~10日の黄体期のあいだ続く精神的あるいは身体的症状で,月経発来とともに減退ないし消失するものをいう.腹痛乳房緊満感・腰痛・易疲労性・食欲亢進・にきび・吹き出物・眠気などの身体症状,いらいら易怒性・意欲減退・不安感などの精神症状がみられる」と定義している.米国産科婦人科学会では,これらの症状の少なくとも1つが月経前に存在し,日常生活に支障をきたし,月経開始後に消失することが3周期連続でみられることを要求している.

・患者に症状日誌を記録させることは,症状の周期性確認に

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