診療支援
治療

閉経後骨粗鬆症
postmenopausal osteoporosis
松下 宏
(愛知医科大学准教授・産婦人科学)

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GL骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

治療のポイント

・骨粗鬆症,および骨折リスクが高い骨量減少では薬物治療を開始する.

・薬物療法では骨吸収抑制薬である選択的エストロゲン受容体調節(SERM)薬,ビスホスホネート(BP)薬を第1選択とする.

・婦人科悪性腫瘍などによる両側卵巣摘出後(外科的閉経)の女性では,禁忌でなければ平均的な閉経年齢である50歳頃までホルモン補充療法(HRT)を行い,骨量減少を予防する.

◆病態と診断

A病態

・女性の骨量はエストロゲンが増加する思春期以降に増加し,20歳頃に最大骨量を獲得する.

・骨量は卵巣機能が低下する40歳頃から減少し,閉経前後の50歳頃にさらに急激に減少する.

閉経前の両側卵巣摘出術(外科的閉経)では自然閉経よりもさらに急激な骨量減少をきたす.

・閉経によるエストロゲン欠乏により骨質も低下し,骨折リスクが上昇する.

B診断

・続発性骨粗鬆症や低骨量をきたす他の疾患を除外し,骨折の危険因子(家族歴,骨折の既往など),生活習慣(使用薬物,Ca摂取,運動,喫煙,飲酒など),月経の状態などについて聴取する.

・外科手術による閉経後の女性では原疾患のエストロゲン感受性についても確認する.

・続いて骨密度測定により骨密度を,脊椎X線撮影により椎体骨折の有無を評価し,「原発性骨粗鬆症の診断基準」(2012年度改訂版)に従い,原発性骨粗鬆症,骨量減少の診断を行う.

◆治療方針

 骨粗鬆症の予防と治療の目的は,骨折を予防し生活機能とQOLを維持することである.ライフスタイルの改善指導に加え,骨粗鬆症および骨折リスクが高い骨量減少女性〔大腿骨近位部骨折の家族歴,または75歳未満でWHO骨折リスク評価ツール(FRAX)による今後10年間の骨折確率(主要骨折)15%以上のいずれか〕ではガイドラインの薬物治療開始基準に従い,薬物治療を開始する.

Aライフスタイ

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