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治療のポイント
・年齢や挙児希望の有無を把握して,NSAIDsなどによる対症療法,低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP),黄体ホルモン製剤,GnRHアゴニスト・アンタゴニストなどの薬物療法,あるいは手術療法を選択する.
◆病態と診断
A病態
・生殖年齢女性の約10%に発生し,疼痛と不妊を引き起こす.
・生殖年齢層においては進行性・難治性であることから,閉経期までの管理を要する.
B診断
・月経時疼痛が約90%に,不妊は約50%にみられる.慢性的な排便痛,性交痛,骨盤痛は特有の症状である.
・超音波検査では,卵巣チョコレート嚢胞は,辺縁不整で周囲組織との境界が不明瞭,均一な内部エコー像が特徴である.
・MRIは血液成分の検出に優れ,繰り返す出血を病態とする本症の診断に有用である.
◆治療方針
疼痛を伴う子宮内膜症に対する治療チャートを示す(図).まずNSAIDsが第1選択として処方されることが多い.疼痛緩和が得られない場合には,低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP:low dose estrogen and progestin)(ルナベル配合錠,ヤーズ配合錠,ヤーズフレックス配合錠,ジェミーナ配合錠)やジエノゲストを勧める.レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS:levonorgestrel-releasing intrauterine system)(ミレーナ)も有効である.なおも疼痛が持続する場合には,GnRHアゴニスト・アンタゴニストの投与を考慮する.薬物療法および手術療法のいずれも,単独では本症を根治させることは困難であり,これらを適宜組み合わせる.現在の妊娠希望がある場合には,不妊治療も含め妊娠を優先する.
A薬物療法
Px処方例 下記の薬剤を症状に応じて適宜用いる.
1)ロキソプロフェン(ロキソニン薬)錠(60mg) 1回1錠 1日3回 食後ある
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