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治療

子宮筋腫,子宮腺筋症
uterine leiomyoma and adenomyosis
京  哲
(島根大学大学院教授・産科婦人科)

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GL産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023

治療のポイント

・本疾患は良性腫瘍であり,治療はQOLの向上が主目的である.

・治療は画一的ではなく,個人のライフスタイル,ライフステージにあった方法を選択する.

・薬物療法は随伴する症状を緩和するものであり,疾患の治癒を目的としない.

・子宮肉腫はきわめてまれな疾患ではあるが,子宮筋腫の急速な増大や高度変性像を認める場合は精査のうえで手術も考慮する.

◆病態と診断

A病態

1.子宮筋腫

・子宮平滑筋に発生するエストロゲン依存性良性の腫瘍である.過多月経貧血,圧迫症状(頻尿,腰痛,下腹部緊満感など)を主症状とし,不妊症の原因ともなりうる.

・境界明瞭な筋腫核を形成し,発生部位により粘膜下筋腫(子宮内膜に突出するもの),筋層内筋腫,漿膜下筋腫(漿膜外に外向性発育するもの)に分けられる.粘膜下筋腫は過多月経を,漿膜下筋腫は圧迫症状を主体とする.

2.子宮腺筋症

・子宮平滑筋に異所性子宮内膜組織が増生する疾患で,エストロゲン依存性に発育する.月経困難症や過多月経,貧血を主体とし,不妊症や不育症の原因ともなりうる.筋腫が過多月経や圧迫症状を主とするのに対し,腺筋症は月経困難症を主体とする.平滑筋(子宮壁)の肥厚を特徴とし,境界が不明瞭である.壁全体にびまん性に拡がるdiffuse typeと局所性のfocal typeに分けられる.子宮内膜症を高頻度に併発するのが特徴で,子宮筋腫との合併も時にみられる.

B診断

・超音波検査で比較的容易に診断できる.筋腫核は境界が明瞭なため診断は容易だが,腺筋症は壁肥厚の程度が軽い場合,診断が困難なときもある.

・より正確な診断にはMRIが有効である.筋腫核の変性像が高度の場合,子宮肉腫との鑑別を要するが,確定診断は子宮摘出による病理診断に委ねる.子宮筋腫による子宮摘出後の病理診断にて,期せずして子宮肉腫が発見

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