頻度 あまりみない
治療のポイント
・“異型のない”子宮内膜増殖症は一般的に加療不要で経過観察する.
・異型増殖症の場合は妊孕性温存希望の有無により薬物療法か手術療法を適切に選択する.
・薬物療法の際には投与禁忌リスクの有無と薬剤有害事象に留意する.
◆病態と診断
A病態
・異型増殖症はType Ⅰ子宮体癌の前癌病変で,放置すると類内膜癌に進行しやすい.
B診断
・月経不順や(閉経後)不正性器出血を伴う症例で,経腟UST検査により肥厚した子宮内膜を認めた場合に,子宮内膜細胞診および組織診を行う.
・内膜生検で異型増殖症と診断されても,その25~40%は癌を合併しているので,子宮内膜全面掻爬による確定診断が必須である.
・骨盤MRIで浸潤所見(junctional zoneの断裂)がないこと,CTで子宮外病変を認めないことを確認することもあるが,早期体癌との鑑別には不十分である.
・子宮鏡による観察を行う施設もあるが,保険適用外の検査で,必須ではない.
◆治療方針
A子宮温存不要例
手術療法(単純子宮全摘出術)により完治させる.
B妊孕性温存例
子宮内膜全面掻爬による確定診断後,一般的に40~42歳以下の妊孕性温存希望例に対して,黄体ホルモン療法を行う.病変非消失時には手術療法へ移行することに加え,比較的高い再発率と薬剤有害事象を含めた十分なインフォームド・コンセントを行う.
Px処方例
メドロキシプロゲステロン(ヒスロンH薬)錠(200mg) 1回1錠 1日2~3錠 通常26週間投与
!不適切処方 易血栓形成傾向(術後1週間以内,脳梗塞,心筋梗塞,血栓性静脈炎の合併または既往,動脈硬化,心疾患,ホルモン剤投与中など),重篤な肝障害,高Ca血症などの患者には投与しない.
!注意 血栓症,高血圧・糖尿病・脂質異常症の悪化,心疾患,うつ病,てんかん,片頭痛,肝障害,体重増加などの有害事象がある.
●治療の変更の指