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GL産婦人科診療ガイドライン 産科編2023
治療のポイント
・頸管無力症の既往妊婦の頸管短縮例は治療的頸管縫縮術を行う.
・早晩の早産が予測される場合には,児の予後改善目的に母体にステロイドを投与する.
◆病態と診断
A病態
・妊娠22~36週の分娩は早産であり,切迫早産は早産の危険性が高い状態のことである.頸管無力症,早産既往,円錐切除術後などはリスク因子である.
B診断
・早産期に規則的な子宮収縮と頸管短縮・開大を認めるものを切迫早産と診断する.
・自覚症状はないが胎胞を認める状態は頸管無力症とする.
・妊娠18~24週に子宮頸管長が25mm未満の場合は頸管短縮と判断する.
◆治療方針
A早産予防治療
1.頸管縫縮術(マクドナルド法,シロッカー法)
頸管無力症既往の妊婦が頸管短縮を認める場合には治療的頸管縫縮術が選択される.妊娠12週以後の早い時期に予防的頸管縫縮術が行われることがある.
2.黄体ホルモン投与
ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル(17-OHPC)の筋注と腟内プロゲステロン療法については早産既往や頸管短縮例に対して早産予防効果が示唆されているが,エビデンスは不十分である.
B切迫早産の治療
1.子宮収縮抑制薬
頻回の有痛性子宮収縮がある症例で,妊娠継続が可能と判断した場合に投与し,妊娠延長をはかる.
Px処方例 下記のいずれかを用いる,または併用する.
1)リトドリン(ウテメリン薬)注 50~200μg/分(適宜増減) 持続点滴静注
2)硫酸マグネシウム・ブドウ糖(マグセント薬)注 40mLを30分かけて静注後,10~20mL/時で持続点滴静注
3)ニフェジピン(アダラート薬)CR錠(20mg) 1回1錠 1日2~3回保外
!注意 子宮収縮抑制薬によって常位胎盤早期剥離の徴候がわかりにくくなるため注意を要する.
●治療の終了の指標 陣痛抑制が困難な場合や臨床的羊膜絨毛膜炎