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GL産婦人科診療ガイドライン 産科編2023
治療のポイント
・妊娠33週未満の重症胎児水腫では胸腔-羊水腔シャント術を考慮する.
・胎児水腫の発生機序の原因の同定・改善に努める.主な原因は①免疫性胎児水腫,②非免疫性胎児水腫である.
・妊娠週数と胎児アシドーシスの可能性,および数時間,数日間での胎児機能不全の増悪傾向の有無,胎児水腫の原因を総合的に判断し妊娠継続か児の娩出かを決定する.
・児の娩出方法には経腟分娩と帝王切開があり,母児双方の臨床病態,子宮口開大の程度によって最適な分娩方法を決定する.
・胎児水腫に罹患した未熟児の管理にはマンパワー,医療資源が必要なことが多く,母児の状態が急激に悪化する前に高次施設への迅速な搬送を判断することも重要である.
◆病態と診断
A病態
1.免疫性胎児水腫
・不規則抗体合併妊娠.例:Rh(-),抗Jra(-),抗E(-)など抗原陰性で抗体陽性の妊産婦の児.
2.非免疫性の胎児水腫の原因
・母児間輸血症候群,ウイルス感染,先天性心疾患,双胎間輸血症候群,染色体異常,頻脈性不整脈,徐脈性不整脈,胎児嚢胞性肺疾患,横隔膜ヘルニアが主な原因となる.
B診断
・皮下浮腫,胸水,腹水など3か所で5mmを超える腔水症を認める場合に胎児水腫と診断する.
・免疫性胎児水腫では母体の不規則抗体を同定し抗体価を測定する.
・非免疫性胎児水腫ではパルボウイルス,サイトメガロウイルス,ヘルペスウイルスなどのIgM,IgG抗体を測定する.
・胎児心臓病としてエブスタイン奇形,三尖弁異形成,大動脈弁狭窄症,左心低形成症候群の有無を評価する.
・心不全の評価として臍帯動脈血流波形の拡張期途絶,逆流,静脈管逆流も参考所見とする.
・胎児心拍数モニタリングは,早産,感染と炎症,胎児発育不全,薬剤の影響を受けることを考慮して判読する.
◆治療方針
一般的に妊娠33週未満の胎児水腫例の新生児予