ポイント
・体重増加不良はよくある問題である.哺乳量不足が原因であることが多いが,消化器疾患や心疾患なども念頭に対応する.
・38℃以上の発熱が続くときは,重症感染症を念頭におく.
・生理的黄疸と病的黄疸の鑑別が必要である.
・母親の不安やストレスへの対応も重要である.
A生理学的特徴
1)在胎37週0日~41週6日に出生した児を正期産新生児という.
2)出生後,いったん体重は減少する(生理的体重減少,出生体重の3~10%前後).哺乳は2~3時間おきに行い,30g前後/日のペースで増加する.
3)体温は37℃前後である.環境温の影響を受けやすく,低体温にも高体温にもなりやすい.
4)出生後は赤血球由来のビリルビン産生が増加するが,新生児の肝臓のグルクロン酸抱合酵素活性は低く,顕性黄疸を生じる(生理的黄疸).東アジア人は黄疸をきたしやすく,日齢3~5頃にピークを迎える.
B管理方針
新生児が出生後に子宮外環境へ適応し,かつ愛着形成しその後の親子関係を育めるよう,母子双方に対するサポートを行う.正常経腟分娩では日齢4~6に母親とともに自宅へ退院する.
1.子育て支援事業
出産前小児保健指導(プレネイタルビジット)では,産科医から紹介された小児科医が,育児不安のある妊婦へ病気に関する相談や育児指導を行う.産後ケア事業では,出産後に母子や家族が自宅または病院で保健師・助産師などのケアを受けられる.
2.早期母子接触,母子同室と母乳育児の推進
早期母子接触(出生後早期の母子の皮膚接触)や母子同室は,母乳栄養率の向上や母子相互関係の確立に対する効果が証明されている.
3.ルーチン管理
a.点眼
淋菌性眼炎の予防目的に始まり,出生直後の抗菌薬点眼は世界中で実施されている.しかし本邦ではエリスロマイシン・コリスチン点眼液の販売中止後,社会や医療状況の変化を踏まえて一律の点眼を行わない施設も出てきている.