頻度 あまりみない
GL新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版)(2011)
治療のポイント
・すべての新生児にビタミンK欠乏性出血症(VKDB)予防のための適切なビタミンK2 製剤補充を実施すべきである.
・肝胆道系疾患を有する児や早産児はVKDBのハイリスクであることに留意する.
・VKDBが疑われた際には,診断のための検査実施と同時に結果を待つことなくビタミンK製剤を投与する.
◆病態と診断
A病態
・ビタミンKには,植物由来のビタミンK1(フィロキノン)と,主に腸内細菌により合成されるビタミンK2(メナキノン)の2つの形態が存在する.
・ビタミンKの胎盤移行や母乳中の含量はごく少量であり,腸内細菌叢の発達も未熟であることから,新生児期に適切な補充がなされないとVKDBのリスクとなる.
・一方,ビタミンKの腸管からの吸収には胆汁酸が重要な役割を担うため,胆汁うっ滞性肝障害の合併はVKDBのハイリスクである.
・特徴的な臨床症状として,皮膚のあざ,消化管や臍部など粘膜表面からの出血や頭蓋内出血がある.
・生後24時間以内にみられる早発型では,母体へのビタミンK反応をブロックする薬剤(抗けいれん薬,ワルファリンなどのクマリン系抗凝固薬,セファロスポリン系などの抗菌薬,抗結核薬など)の投与が関連することがある.
・新生児へのビタミンK補充が不十分な場合,古典的なVKDBとして生後1~4週の間に発症することが多い.
・遅発型VKDBは通常生後3~8週の間に発症し,頭蓋内出血の頻度が高く,胆道閉鎖症などの肝胆道系疾患合併や抗菌薬の使用が関連することもある.
B診断
・血液検査ではプロトロンビン時間と活性化部分トロンボプラスチン時間の両者が延長する.軽度のVKDBではプロトロンビン時間のみが延長する場合もある.血小板数は正常で出血時間は延長しない.また,ビタミンK