診療支援
治療

新生児の呼吸管理
neonatal respiratory care
山田洋輔
(東京女子医科大学附属足立医療センター准教授・新生児科)

A新生児の呼吸管理の基本戦略

 新生児,特に早産児は,呼吸器系,呼吸中枢の未熟性のために長期間の呼吸管理が必要である.しかし,長期間の呼吸管理は人工呼吸器関連肺傷害(VILI:ventilator-induced lung injury)をきたしやすい.VILIには肺胞が過膨張と虚脱を繰り返すこと(容量損傷,無気肺による損傷)や,過膨張と虚脱した肺胞同士がこすれあうこと(shear stress),酸素や感染(化学性)による損傷などがある.VILIを最小限にして肺や気道をなるべく保護しながら育て,呼吸管理から離脱できる時期を目指す,というのが呼吸管理の基本戦略である.具体的にはVILI軽減を意識しながら,target SpO2 やCO2 内での管理をするために,挿管・非挿管の選択,換気モードの選択,呼吸器設定の調節を行っていく,ということである.

BTarget SpO2,CO2

 早産児では至適O2 とCO2 が狭く,低O2 は死亡,壊死性腸炎,発達遅滞,高O2 は未熟児網膜症や新生児慢性肺疾患(CLD:chronic lung disease)発症のリスクである.低CO2 は脳室周囲白質軟化症,高CO2 は脳室内出血や肺高血圧のリスクとなる.急性期はtarget SpO2 は90~95%程度,それ以降では95%以上というイメージで,target CO2 は35~45mmHg程度で管理する施設が多い.慢性期以降では,permissive hypercapniaという,VILIを抑えることを優先してある程度の高CO2 を許容する管理を行うこともある.

C非侵襲的換気

1.酸素療法

 呼吸障害が軽度,CO2 貯留がない場合に選択する.鼻カニューレによる酸素療法は,吸入時に周囲の空気と混合されて吸入酸素濃度が下がる.新生児では2L/分以上の使用は加湿不足への注意が必要である.

2.HFNC,

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