本邦の分娩の約半数が有床診療所で行われている.早産や外科疾患合併などの医療的なケアが必要な新生児の出生が予測された場合,母体搬送にてNICUの整った3次医療施設で分娩することが望ましい.しかし,進行中の早産,常位胎盤早期剥離や臍帯脱出などの産科緊急例は母体搬送が困難である.そのため,分娩を取り扱う施設では,新生児搬送システムを理解することが重要である.
A新生児搬送システム
新生児搬送は施設間の搬送が主であり,集中治療が必要な新生児をNICUのある3次医療施設へ搬送する「上り搬送」,全身状態の安定した児を2次医療施設へ搬送する「下り搬送」がある.上り搬送では,新生児搬送チームが新生児の出生場所に赴き,状態を安定させたうえで搬送を行う.
搬送される新生児の情報共有は大切である.搬送依頼目的,児のバイタルサイン,現在の治療内容などを確実に共有し,搬送方法を検討する.一般的には保育器や人工呼吸器