診療支援
治療

早産児の無呼吸発作
apnea of prematurity
上野大蔵
(浜松医科大学附属病院・地域周産期医療学)

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治療のポイント

・発作時には迅速に対応し自発呼吸を回復させる.

・発作を予防し,呼吸,循環が安定した状態を保つことが重要である.

・予防法として環境整備,薬物,呼吸療法などがあり,児の状態により組み合わせて行う.

◆病態と診断

A病態

・早産児は高二酸化炭素血症への反応が鈍く,低酸素血症に対し逆に呼吸が抑制されるため中枢性無呼吸を起こす.

・咽頭筋の緊張が弱く上気道が虚脱することで閉塞性無呼吸を起こす.

・両者が混在する混合性無呼吸が多い.

B診断

・「20秒以上続く呼吸停止」,「20秒未満でもチアノーゼ(低酸素)か徐脈を伴う呼吸停止」と定義される.

・SpO2<80%で低酸素,心拍数<80~100回/分で徐脈の徴候として扱う.

◆治療方針

 発作時は呼吸停止,徐脈であるため迅速に対応する.早産児の管理においては呼吸や循環を安定させておくことが発達予後に重要であり,発作は可能な限り予防する.

A発作時の対応

1.刺激

 皮膚刺激,酸素投与,人工呼吸器の吸気ホールドなどで刺激を行う.

2.人工呼吸

 刺激でも呼吸が再開されない場合,用手換気による人工呼吸を行う.

B発作予防

1.環境整備

 高体温を避け,分泌物,体位による気道閉塞を予防する.

2.酸素療法

 低酸素を避けるように酸素投与をする.

3.経鼻的持続陽圧換気(nasal CPAP:nasal continuous positive airway pressure),高流量鼻カニューレ酸素療法(HFNC:high flow nasal cannula)

 気道開通維持,肺伸展受容体刺激で呼吸を維持する.

4.薬物療法

 呼吸促進薬を使用する.

Px処方例 下記1)を用い,無効,効果不十分の場合は2)を併用する.

1)無水カフェイン(レスピア)静注・経口液 初回投与量:20mg/kg(成分量として) 30分以上かけて静注,維持量:初回投与から24時間後以降に1

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