診療支援
治療

新生児慢性肺疾患
chronic lung disease(CLD)of infancy
新井浩和
(秋田赤十字病院・新生児科部長)

頻度 〔海外定義の本疾患罹患率は,超早産児(在胎28週未満の早産児)で50%を超える〕

ニュートピックス

・2022年より,厚生労働科学研究費難治性疾患政策研究事業として本疾患の新病型分類と科学的根拠に基づく本疾患診療ガイドラインの作成が開始されている.特に,病型分類は数十年ぶりに改訂される.

治療のポイント

・超早産児の多くが罹患する多因子疾患であり,重症例を早期に診断し酸素依存性などの症状を軽減させることが予後改善につながる.

・各種人工換気を時期に応じて適切に利用すること,薬剤はステロイド,カフェイン製剤がエビデンスのある治療法として用いられる.

◆病態と診断

A病態

・本疾患は未熟な肺に起こる多因子疾患である.

・出生前因子としてはsmall for gestational age児,子宮内感染,未熟な在胎週数,遺伝的要因など,出生後因子としてはサーファクタント欠乏,人工呼吸器使用,酸素使用,低栄養,感染,動脈管開存などがある.

B診断

・本疾患の定義は日本と海外で異なっており,海外で用いられている定義は「修正36週で酸素または呼吸サポートを必要とするもの」とされ,日本でも広く使用されている.

・一方,日本で策定された診断基準は「酸素投与を必要とするような呼吸窮迫症状が日齢28を超えて続くもの」と定義し,さらにⅠ~Ⅵ型に分類される.そのなかで,子宮内感染を原因とし早期に胸部X線写真が泡沫状/気腫状陰影を呈する重症慢性肺疾患(Ⅲ型に分類される)を診断することに重きがおかれている.

◆治療方針

 予防のためには重症になる群の早期診断が重要で,チーム医療にて以下の治療を行いつつ重症化を防ぐ.

A挿管下呼吸器使用時の管理

 無気肺を減らし過剰な換気量による損傷を防ぐopen lung strategyが重要である.早期抜管が重要で,非侵襲的陽圧換気,高流量鼻カニューレなどに移行し管理する.酸素濃度の調節も

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