Ⅰ.乳幼児突然死症候群(SIDS)
◆病態と診断
A病態
・それまでの健康状態および既往歴からその死が予測できず,しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない,原則として1歳未満の乳幼児に突然の死をもたらした症候群と定義されている.
・SIDSの病因や死亡機序は不明である.
B診断
・2005年に定義が改訂され解剖率は上昇したが,診断を特定する所見が存在しないため原因不明とされる症例が増えている.したがって,SIDSの的確な把握は困難であり,SIDS,窒息および原因不明な死亡を予期せぬ乳幼児の突然死(SUDI:sudden unexpected death in infancy)として網羅的にとらえる概念が提唱された.
◆治療方針
SIDSの発生率は仰向け寝キャンペーン後に顕著に低下したが,2004年以降は緩徐である.SIDSの予防は,仰向け寝にする,適切な寝具に寝かせる,添い寝は避