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学校における感染症の流行と対策(学校保健安全法)
endemic and prevention strategies of infectious diseases at school(the school health and safety law)
石和田稔彦
(千葉大学教授・真菌医学研究センター感染症制御分野)

A学校保健安全法とは

 学校における児童生徒などと職員の健康保持増進をはかるとともに,学校における教育活動が安全な環境において実施されることを目的として定められた法律である.1958年に学校保健法として制定され,2009年に学校における安全管理に関する条項が加わり,学校保健安全法と改題された.なお,この法律における「学校」には,幼稚園,小学校,中学校,高等学校,大学,特別支援学校などが含まれる.

B学校保健安全法に含まれる内容

 学校保健に関する事項として,学校の管理運営(保健室の設置など),健康相談等(健康相談,保健指導など),健康診断,感染症の予防,学校保健技師ならびに学校医,学校歯科医および学校薬剤師の職務,地方公共団体の援助および国の補助について定められている.また,学校安全に関する事項が別途定められている.

C学校において予防すべき感染症の種類

 感染症の予防について,学校保健安全法では,学校において予防すべき感染症を第1種から第3種に分類し,出席停止期間の基準などを定めている().

1.第1種感染症

 感染症法の1類感染症と結核を除く2類感染症が含まれる.新型インフルエンザ等感染症,指定感染症,新感染症は第1種感染症に含まれる.

2.第2種感染症

 空気感染や飛沫感染により,学校において感染が広がりやすく,児童生徒などの罹患が多い感染症が含まれる.出席停止期間は感染症ごとに異なるが,「医師が感染のおそれがないと判断した場合にはこの限りではない」とされている.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2023年5月より第2種感染症に追加された.

3.第3種感染症

 学校教育活動を通じ,学校において流行を広げる可能性がある感染症が含まれる.第3種感染症のなかの「その他の感染症」は,学校で通常みられないような重大な流行が起こった場合に,その感染拡大を防止するために必要がある場合,学校

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