治療のポイント
・循環不良の有無,徐脈性か頻脈性か,QRSはwideかnarrowかで初期評価と鑑別を行う.
・カテーテルアブレーションやデバイス治療の適応は以前より広がっている.低年齢でも選択肢から除外せず専門医に相談する.
◆病態と診断
・器質的疾患がない発作性不整脈で最も多く認めるものは,発作性上室頻拍である.
・頻拍時の症状として,乳幼児では不機嫌,努力呼吸,哺乳不良,嘔吐,意識消失,幼児では胸痛や腹痛を認めることがある.
・学童期では検診や日常診療で,期外収縮,2度以下の房室ブロック,WPW(Wolff-Parkinson-White)症候群,QT延長などがみつかることが多い.
◆治療方針
A発作性上室頻拍
循環不良な場合は電気的除細動(DC:direct current)(同期下で0.5~2ジュール/kg)を行う.安定していれば迷走神経手技(息こらえ,アイスバッグ法など)を試み,効果がなければ薬物治療を行う.まずはアデノシン三リン酸を投与し,持続する場合はベラパミル,ジゴキシン(顕性WPWでは避ける)などを用いる.必要に応じて予防内服やカテーテルアブレーションを検討する.
1.頻拍停止
Px処方例 下記の1)を用いる.1)が無効の場合は2)~4)を適宜用いる.
1)アデノシン三リン酸(アデホス-L薬)注 1回0.2~0.3mg/kg 原液のまま急速静注保外
2)ベラパミル(ワソラン薬)注 1回0.1mg/kg 希釈し5分以上かけて静注(乳児期以下では禁忌)
3)ジゴキシン(ジゴシン薬)注 乳幼児:0.04mg/kg,学童:0.03mg/kgのうち初回に半量,続いて残り半量を2~3回に分けて6~8時間ごとに緩徐に静注
4)プロプラノロール(インデラル薬)注 1回0.05~0.1mg/kg 緩徐に静注
!注意 1)は半減期が短いため生理食塩液などですみやかな後押しを行う.
2.頻拍予防
Px処方例