診療支援
治療

腸重積,腸回転異常症・中腸軸捻転症
intussusception, malrotation・midgut volvulus
飯沼泰史
(新潟市民病院・小児外科部長)

頻度 よくみる(腸重積症)

頻度 ときどきみる(腸回転異常症・中腸軸捻転症)

GLエビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン 改訂第2版(2022)

Ⅰ.腸重積症

ニュートピックス

・「エビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン」の改訂で,静水圧整復の上限が120cmから150cm溶液柱に変更された.

治療のポイント

・すみやかな診断と治療開始を意識する.

◆病態と診断

A病態

・口側腸管が肛門側に引き込まれ,腸管が重積することで腸閉塞症や血流障害を呈する.多くは特発性で,回腸結腸型が90%以上である.

・器質的病変(病的先進部)を有する場合もある.

B診断

・病初期から間欠的な啼泣/不機嫌/腹痛を呈し,嘔吐,血便,腹部腫瘤などが続く.

・グリセリン浣腸による血便の確認は必須ではない.

・超音波検査が第1選択で,短軸像でtarget sign,長軸像でpseudokidney signが描出可能である.診断が不確実な場合は躊躇せず注腸造影検査を行う.

・単純X線とCT検査は補助的に用いる.

◆治療方針

 細胞外液輸液を開始し,全身状態に応じて治療方針を決定する.

A非観血的整復

 ショックや腹腔内遊離ガスを呈する例には禁忌である.整復率は60~95%だが,6か月未満児および発症から36時間以上経過している例では腸管穿孔のリスクが高い.鎮静薬は原則不要だが,下肢の固定を確実に行う.

 整復には24~30Fのバルーンカテーテルを用いる.整復圧は,空気:80~120mmHg,静水圧:100~150cm溶液柱で実施するが,6か月未満児では空気:60~100mmHg,静水圧:80~120cm溶液柱にとどめる.術者の慣れた方法を選択し,整復成功後は原則入院管理とする.1度目の整復で部分的に整復され,全身状態が安定している場合には,数時間後にdelayed repeat enemaを検討してもよい.

1.超音波下整

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