頻度 あまりみない
GL脳腫瘍診療ガイドライン 小児脳腫瘍編 2022年版
治療のポイント
・腫瘍や水頭症による頭蓋内圧亢進などの症状が出現したときには,緊急手術を要する場合がある.特に乳幼児では訴えることができないため,発見時にはcriticalになっていることも多い.
・治療方針は腫瘍の種類と発生部位により異なる.
・脳神経外科,小児科,放射線治療科などの多職種による集学的治療を要するものも多く,晩期合併症のフォローアップも重要である.
◆病態と診断
A病態
・病理学的に非常に多彩であるが,頻度の高いものとして,神経上皮性腫瘍(神経膠腫や上衣腫など),胎児性腫瘍(髄芽腫など),胚細胞腫瘍,頭蓋咽頭腫などがある.
・WHO分類2021で小児型の神経膠腫が成人型とは別に新たな分類となった.
・好発部位がある.髄芽腫=小脳虫部,胚細胞腫瘍=松果体部・トルコ鞍上部,頭蓋咽頭腫=トルコ鞍部・鞍上部,毛様細胞性星細胞腫=視路・小脳,diffuse midline glioma=橋・視床など.
B診断
・画像診断では造影MRIが必須である.石灰化や出血の評価にはCTも有用である.血管評価もMRIや造影CTで十分で,脳血管造影は自施設では通常は行っていない.
・病理診断に加えて,腫瘍の遺伝子変化の検索やメチル化解析が診断のために必要なものも多い.
◆治療方針
代表的な腫瘍を取り上げる.
A髄芽腫
小脳虫部に発生し非交通性水頭症をきたす.治療は外科的な可及的摘出と腫瘍の分子診断などに基づくリスク分類により,化学療法と放射線治療が選択される.
B小脳星細胞腫
小脳半球に発生する毛様細胞性星細胞腫で嚢胞を呈することが多い.外科的な全摘出のみで治癒可能な腫瘍である.
C視路・視床下部神経膠腫
毛様細胞性星細胞腫でも視路・視床下部に発生したものは全摘出できない.生検や画像診断のみで化学療法が優先されることが多い.神経線維腫症1型