診療支援
治療

小児の摂食障害
eating disorders in children
鈴木雄一
(福島県立医科大学学内講師・小児科学)

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GL小児科医のための摂食障害診療ガイドライン(2015)

ニュートピックス

・児童青年期の神経性やせ症に対してエビデンスのあるFBT(family based treatment)が,日本でも今後展開されていく可能性がある.

治療のポイント

・初期対応の基本は,疾病教育,栄養教育,やせに対する身体的治療である.

・重度の体重減少により初診時に生命の危機に直面していることがあり,器質的疾患の除外と重症度評価を行う.

◆病態と診断

A病態

・小児の摂食障害は,体重・体型に対する歪んだ認知をもち,食物・食事への病的な没頭を認める神経性やせ症と,体重・体型に対する歪んだ認知がない回避・制限性食物摂取症に大別される症候群である.

・発達障害併存例が約10%存在し,数値へのこだわりや感覚の偏りが食行動に影響し,少食(制限摂食)や極端な偏食(選択的摂食)からやせに至る場合がある.

B診断

・米国精神医学会による「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版」(DSM-5:Diagnostic and Statistical Manual of Medical Disorders 5th ed)と,小児期発症の摂食障害とその類縁疾患の診断分類として提唱されたGOSC(Great Ormond Street criteria)を併用すると,病態を把握しやすい.

◆治療方針

 まず,成長曲線を用いて体重の変化を確認し,身体診察所見や検査結果を用いて現状の理解を促す疾病教育と,太らせるための治療ではなく,脳も含め身体の正常な活動を取り戻すための栄養教育を行う.そして,標準体重比を計算し,安静度の設定と治療法の選択(入院適応の有無,栄養方法や薬物療法の検討)をする.

A治療契約

 標準体重比を算出し,やせが重篤であることを伝える.標準体重の65%未満では,入院治療を早期に検討する.

B再栄養療法

 開始時の栄養量は,1日

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