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ニュートピックス
・2022年4月1日に施行された「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」によって,教育委員会など学校の設置者に調査権が付与され,犯罪が疑われる性暴力の警察通報が明記されたので,教育職員等による性虐待の通報を怠ってはならない.
治療のポイント
・虐待を疑ったら,迷わず通告し,多機関連携で対応する.
・児童虐待通告は,法律によって誤通告も守秘義務違反も免責されているので,診断が誤っているかもしれないという危惧や侮辱罪・名誉毀損罪の心配から通告をためらう必要はない.
◆病態と診断
A身体的虐待
・子どもの発達段階と矛盾する外傷や,保護者などから語られた受傷機転が子どもの発達段階や外傷所見と矛盾するときは,虐待を疑って児童相談所に通告する.
・事故よりも虐待による可能性が高い外傷はTEN-4-FACES-P(テン・フォー・フェイシズ・ピー)と覚えるとよい.
・T:Torso(躯幹),E:Ear(耳),N:Neck(頸部)
・4:4か月以下の乳児に認められた外傷
・F:Frenulum(上唇小帯・下唇小帯・舌小帯),A:Angle of the Jaw(下顎角),C:Cheeks(頬部),E:Eyelids(眼瞼),S:Subconjunctivae(結膜下)
・P:Patterned bruising(パターン外傷)
・虐待が疑われるものの,一時保護が必要ない場合は市区町村に通告する.
B性虐待
・子どもが性虐待を開示したら,「誰が」「何をしたか」だけを聞き取って児童相談所に通告する.その際,被害のあった日時や回数・頻度など,推量を要する情報は過ちが混入しやすく,子どもの供述の信用性を毀損するので聞かない.
・開示がなくても,性化行動やPTSDを疑わせる症状,解離症状など,子どもに懸念される言動や症状が認められたら,「何があったか」「それをしたのは誰か」だけ