診療支援
治療

夜尿症
nocturnal enuresis
大友義之
(順天堂大学医学部附属練馬病院教授・小児科)

頻度 よくみる

GL夜尿症診療ガイドライン2021

治療のポイント

・夜尿症治療の第1段階は,就寝2時間以内の飲水制限や,就寝前に必ず排尿を済ませるなどの生活指導である(約1割はそれだけで夜尿症が解消する).

・生活指導のみでは無効な場合,1か月ほどの時点で,積極治療の開始を考慮する.薬物治療(抗利尿ホルモン薬;デスモプレシン)とアラーム療法の2つが第1段階の治療である.

・併存症として慢性便秘が重要であり,夜尿症の一因にもなっているので,その管理と治療を優先して行う.

◆病態と診断

・5歳以上の小児において,就寝中の間欠的な尿失禁が,1か月に1回以上,3か月以上にわたって続くものを「夜尿症」と診断する.約1/4の症例でみられる昼間の尿失禁の合併の有無は問わないが,昼間尿失禁の合併例では,治療抵抗性のことが多い.

・夜尿症をきたす基礎疾患(腎尿路疾患,脳脊髄疾患,糖尿病,甲状腺疾患など)を有する患者は5%程度である.それ以外は複数の要因が想定されている.夜間就寝中の内因性の抗利尿ホルモンの分泌低下による夜間多尿が7割の患者で,排尿筋の過活動が5割の患者でみられるが,尿意や尿失禁をきたした際に覚醒できないという睡眠の問題が最大の要因と考えられる.

◆治療方針

A初期診療

1.問診と診察から病型分類

 治療を始めるにあたって問診などから,2つの病型分類を行っている.1つ目は,単一症候性夜尿症と非単一症候性夜尿症の区別であり,前者は下部尿路症状(LUTS:lower urinary tract symptoms)を有さず,後者は有する.LUTSとは,①1日の排尿頻度が過多(8回以上)か過少(3回以下),②昼間尿失禁,③尿意切迫,④排尿開始困難,⑤強く腹圧をかける必要のある排尿,⑥微弱尿線,⑦断続排尿,⑧尿堪え姿勢がみられる,⑨残尿感,⑩排尿後のちびり,⑪外性器や下部尿路の疼痛の11症状である.

 2つ目の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?