診療支援
治療

不登校
school refusal,truancy
石崎優子
(関西医科大学診療教授・小児科学)

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GL小児科医のための不登校診療ガイドライン(2015)

ニュートピックス

・文部科学省の調査結果で,2021年度の小中学生の不登校は24万4,940人(小学生8万1,498人,中学生16万3,442人)と初めて20万人を超えた.

治療のポイント

・学校に行けない患児の心に寄り添うとともに,身体症状が著しい場合には鎮痛薬,止痢薬などを使用し,身体にも心理にも治療が偏りすぎないように心がける.

◆病態と診断

A病態

・「不登校」は医学的診断名ではない.文部科学省による不登校の定義は,「病気や経済的な理由などといった特別な事情がなく年間の欠席日数が30日以上となった状態」であり,「不登校児童生徒」とは「何らかの心理的,情緒的,身体的あるいは社会的要因・背景により,登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち,病気や経済的な理由による者を除いたもの」である.

・すなわち文部科学省の定義では「病気ではない」が,診療現場では,起立性調節障害などの自律神経失調や,慢性頭痛,月経困難症などの身体の機能的問題を有する場合も多く,身体要因と心理要因を厳密に分けることは困難である.

B診断

・不登校の定義は上述の通りであるが,加えて身体疾患,精神疾患,神経発達症,社会経済的問題,児童虐待などの合併につき多面的評価を行う.また「不登校児は学校検診を受けていない」ことを念頭におき,身体疾患の発症を見落とさないことが重要である.

・代表的な併存疾患は起立性調節障害であり,過敏性腸症候群,慢性頭痛などの自律神経失調も多い.一般検血,X線検査,起立試験などを実施する.

・発達の偏りや感覚過敏により集団に適応できない場合,神経発達症を疑い,家族,教員の情報を聞き,発達評価を行う.うつ病や統合失調症などの精神疾患が疑われる場合には精神科を紹介する.

◆治療方針

 病態と診断に挙げた背後

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