診療支援
治療

屈折異常(眼鏡,コンタクトレンズ)
refractive errors(glasses and contact lens)
月山純子
(心月会つきやま眼科クリニック・院長(和歌山))

◆病態と診断

・屈折異常と調節力の変化について図1図2に示す.

◆治療方針

 眼鏡やコンタクトレンズ(CL:contact lens)処方においては,常に屈折異常と調節力をイメージしながら処方することが大切で,具体的に日常生活のどのような場面で困っているのか,詳細に問診しながら行う.

A眼鏡による矯正

 眼鏡は,最も侵襲が少ない屈折異常の矯正方法である.眼鏡の処方は,適切でないと眼精疲労だけでなく,頭痛や吐き気,肩こりや倦怠感など,全身に影響を及ぼすことがあるので注意が必要である.

 眼鏡は,近視や遠視,乱視(正乱視)を矯正するだけでなく,プリズムレンズで軽度の眼位異常も矯正することができる.加齢により調節力は徐々に低下し,老視とよばれる状態となり,遠近両用眼鏡や老眼鏡が用いられる.

Bコンタクトレンズ(CL)による矯正

 CLは,水分を含まないハードコンタクトレンズ(HCL:hard contact lens)と,水分を含むソフトコンタクトレンズ(SCL:soft contact lens)に大別される.HCLは,乱視矯正効果が高く,円錐角膜など角膜不正乱視の矯正にも適している.SCLは使い捨てタイプが主流で,1日使い捨てタイプや2週間頻回交換型などがあり,乱視矯正SCLもある.遠近両用CLもあるが,SCLとHCLでは光学的にデザインが異なる.近年は,シリコーンハイドロゲルレンズといった酸素透過率の高いSCLも増えている.

 CLは,カラーCLも含めて高度管理医療機器のクラスⅢに分類されており,本来は眼科専門医の診察に基づく処方が求められるが,現在のところ,本邦では処方箋がなくても購入できる.そのため,インターネットや雑貨店などで購入し,不適合による障害や,自己流の誤ったケアで,角膜潰瘍といった失明につながる眼感染症,角結膜上皮障害や角膜の変形を生じて来院する症例も多い.



文献

1) 所

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