診療支援
治療

屈折異常(手術療法)
refractive errors(surgical treatment)
稗田 牧
(京都府立医科大学講師・眼科学)

GL屈折矯正手術のガイドライン第7版(2019)

治療のポイント

・近視,遠視,乱視は手術で治療でき,日本眼科学会のガイドラインがある.

・角膜屈折矯正手術と眼内レンズを使った屈折矯正手術がある.

・患者が選択するelective surgery(選択的手術)で,自費診療により行われる.

◆病態と診断

A病態

・40歳未満の正視は,無限遠方から眼前10cm程度まで明視することができる.

近視は無限遠方からの光が眼底の手前で像を結ぶため,その像を後方に移動させる凹レンズをかけることで明視できる.遠視は凸レンズをかけることで明視できる.乱視は円柱レンズをかけることで明視できる.

・目の自動焦点制御機構である調節力が加齢とともに低下し,正視が近方を明視できない状態を老視といい,屈折異常ではなく調節障害である.

B診断

・5m遠方の視力表を見たとき,最良矯正視力に必要なレンズの度数を屈折度といい,その値で近視,遠視,乱視が分類される.

・遠方視力が1.0以上の状態で,近方視力が1.0未満であれば調節障害を疑う.

◆治療方針

 裸眼視力低下に対して眼鏡・コンタクトレンズで矯正することが困難な場合には,屈折矯正手術という選択肢を提示する.

A角膜屈折矯正手術

 角膜は眼球の前面にある直径12mm,厚さ0.5mmの透明な膜である.角膜をエキシマレーザーで切除して形状を変化させることで近視,遠視,乱視を矯正する.

 角膜に生体蓋を作成して表面の上皮剥離を起こさないLASIK(laser in situ keratomileusis)と,上皮剥離をするPRK(photorefractive keratectomy)の2つの術式に大別される.

 PRKは疼痛や視力回復の遅れなどの短所はあるが,角膜に対する影響が表層にとどまるため,LASIKより多様な対象に施術可能である.したがって,角膜の形や厚みにより手術適応が異なる.異常の

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