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ニュートピックス
・2022年,デジタルデバイスによる後天共同性内斜視の全国調査が終了し,デジタルデバイスの過剰な視聴が誘因で内斜視が発症する可能性が示唆されている.
治療のポイント
・乳児内斜視では,両眼視獲得のため1歳未満の早期手術が推奨されている.
・8歳未満で,固視眼が決まっている場合,斜視となっている目が弱視となることがある.
・後天発症の斜視は複視を伴う.その際は,小さな眼位ずれでも治療の対象となる.
・後天発症の斜視は,頭蓋内疾患や全身疾患が原因のことがある.
・整容的に不自由がある際は手術の適応となり,保険診療での治療が可能である.
◆病態と診断
A病態
・斜視とは,両眼の視軸が同じ方向を向かない状態である.
・弱視や複視の原因となる.
・外眼筋,調節輻湊機能,眼運動神経,神経筋接合部などの障害で発症する.
・先天性では乳児内斜視,上斜筋麻痺など,後天性ではサギングアイ症候群,眼運動神経麻痺,甲状腺眼症,重症筋無力症などが原因となる.
B診断
・ペンライトを患者の前方から照らし,角膜反射の位置で眼位を計測する(Hirschberg法).
・詳細に眼位ずれの量を計測する際は,調節視標を注視させ,プリズムレンズを眼前にあて,左右交代で遮閉して眼位ずれがなくなるまでプリズムレンズを増やしていく(交代プリズム遮閉試験).
・眼球運動を確認し,眼球運動障害を検出する.
・重度の視力障害がある場合は,感覚性(廃用性)斜視となる.
◆治療方針
斜視治療の基本方針は,両眼視機能の獲得と復活,さらに整容的回復である.QOV(quality of vision)の回復と,身体・社会的側面での改善に努める.年齢,患者背景などにより,患者ごとに治療方針の検討が必要である.
A眼鏡・コンタクトレンズ処方
調節性内斜視,間欠性外斜視は,屈折矯正が重要である.調節麻痺薬点眼下での屈折を参考に,眼位が安定する眼鏡を