診療支援
治療

眼精疲労
asthenopia
加藤圭一
(かとう眼科医院・院長(宮城))

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治療のポイント

・安易にビタミン剤の点眼処方で済ませない.

・「疲れる」を別の言葉で置き換えて表現してもらうと本質が現れやすい.

・原因となる眼疾患の診断のため,眼科医へのコンサルトが必要.

◆病態と診断

・『アイフレイル世代に聞いた「目の健康に関する意識調査」』によると,眼精疲労を含めた「眼不快感」は,老視関連症状とともに多い自覚症状である.

・目に限らず「疲れる」という言葉は心身の不調を訴えるのにとても便利な言葉だが,その表現の裏にはいろいろな原因が潜んでいることが多い.「目が疲れる」という症状を,「疲れる」という単語を使わずに表現し直してもらうと,訴えの本質が現れてくることがしばしばある.「しょぼしょぼする」「目を開けているのがつらい」「目の奥が苦しい」「見づらい」といった別の意味の言葉を使う人が多く,症状から推察される原因に応じ対処方法は異なってくる.

・原因究明には多くの場合眼科的検査が必要であるが,まずは問診で症状の聞き方を工夫し,対応の方向性を見出すことは治療の大きな第一歩と考えられる.代表的な症状について解説する.

1)しょぼしょぼする:ドライアイ,マイボーム腺機能不全といった涙液の不安定性や,慢性結膜炎に起因することが多い.また,適切な矯正が行われてない遠視や,近視であってもいわゆる強すぎる眼鏡やコンタクトレンズ(以下,CL)により,過矯正ひいては過剰な調節を強いられている場合にも生じやすい.

2)目を開けているのがつらい:ドライアイや眼瞼下垂といった眼疾患が典型だが,光をはじめとした各種刺激で目が開きづらくなる本態性眼瞼けいれんでは,「眩しい」と表現する人も多い.前述の不適切な矯正によることもある.

3)目の奥が苦しい:筋緊張性頭痛の症状であることが多いが,まれに高眼圧,視神経疾患,副鼻腔炎,頭蓋内病変などが原因となっていることがあり,精査が必要な場合もある.

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