診療支援
治療

感染性角結膜炎
infectious keratitis and conjunctivitis
江口 洋
(近畿大学准教授・眼科学)

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GL感染性角膜炎診療ガイドライン(第3版)(2023)

治療のポイント

・角膜炎,結膜炎とも原因微生物をできるだけ早く特定することが重要である.

・原因微生物の特定が困難な場合は,生活歴,細隙灯顕微鏡所見,臨床経過から推定する.

・細菌性角膜炎,真菌性角膜炎,アカントアメーバ角膜炎では,各々で必要な点眼液の1~2時間ごとなどの頻回点眼を,2~8週間継続する.

・ヘルペス性角膜炎では,病型(上皮型,実質型,内皮型,あるいは角膜ぶどう膜炎)を把握することが重要である.

・アデノウイルス結膜炎では,ウイルス増殖を助長しないこと,および角膜上皮下浸潤を発生させないことが重要である.

◆病態と診断

A病態

・結膜炎は,眼表面で微生物が増殖し炎症が惹起された状態であり,結膜充血,眼脂,眼瞼の発赤や腫脹がある.

・角膜炎は,角膜上皮あるいは角膜実質内で原因微生物が増殖し炎症が惹起された状態であり,角膜潰瘍,角膜膿瘍,角膜浸潤など角膜の混濁を生じる.結膜炎同様に,結膜充血,眼脂,眼瞼の発赤や腫脹もある.

・ヘルペス性角膜炎の上皮型は,角膜上皮細胞でヘルペスウイルスが増殖して角膜潰瘍を生じる状態である.

・ヘルペス性角膜炎の実質型,内皮型,角膜ぶどう膜炎は,ウイルスに対する免疫反応が原因で,角膜実質や前房で炎症が生じる状態である.

B診断

・ウイルス性結膜炎以外の結膜炎では,眼脂は粘液膿性で,白色,黄白色,黄緑色を呈し,細菌性結膜炎や真菌性結膜炎では,眼脂の塗抹検鏡で多核白血球と原因菌が検出され,培養で種が同定されると確定診断に至る.

・アデノウイルス性結膜炎では,流涙のような漿液性眼脂のことが多く,その塗抹検鏡で検出されるのはリンパ球主体であることが診断に有用である.

・角膜炎では角膜潰瘍,角膜膿瘍,角膜浸潤があり,結膜充血,眼脂,眼瞼の発赤や腫脹もあることを参考にする.

・ヘルペス性以外の角膜炎では,角膜擦

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