診療支援
治療

白内障
cataract
木村友剛
(木村眼科内科病院・院長(広島))

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治療のポイント

・羞明,視力低下などの自覚症状と,白内障の進行程度とを考慮し手術適応を決定する.

・一般的な白内障手術は低侵襲であり,その多くが短時間で安全に行えると広く認識されている.そのため,患者の手術に対する期待値はかなり高い.しかし,難症例も少なからず存在するため,患者への十分な術前説明が重要である.

・術後の見え方,特に術後屈折値が患者の満足度に大きく影響するため,十分に理解を得てから手術を行う.

◆病態と診断

A病態

・白内障は,水晶体が主として加齢性変化により混濁を生じる疾患である.

・原因は,加齢のほかに,先天性や外傷性,薬剤性(ステロイド),糖尿病やアトピー性皮膚炎などの続発性がある.

・症状は,初期では羞明やかすみ目などであるが,進行していくにつれ視力低下が生じる.また,水晶体核の硬化による近視化を生じることもある.

B診断

・視力検査や屈折検査などの自覚的および他覚的検査と,眼科医による細隙灯顕微鏡検査によって診断する.

◆治療方針

A治療戦略

 白内障治療には点眼治療と手術の2つがあり,視力改善のためには手術が必要である.進行予防のための点眼薬は以前から存在するが,その効果は限定的であり,現在では手術の安全性や信頼性が高まっているため,処方する機会は減ってきている.

 白内障手術の適応を考えるうえで,単に視力検査の数値だけでなく,コントラスト感度の低下や,加齢による屈折の変化,患者の生活への影響の程度,自動車運転免許の有無などによって,総合的に判断して手術適応を決定する.

 白内障の進行によって水晶体体積が増加することで狭隅角となり,急性緑内障発作の原因になることがある.将来的な発作を予防するために早期に白内障手術を行うことがある.

B手術

 通常症例に対する手術方法は,切開創は2~3mm以内,超音波乳化吸引装置を用いて水晶体嚢を残して水晶体の摘出をしたあと,インジェク

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