診療支援
治療

ぶどう膜炎(内眼炎)
uveitis(intraocular inflammation)
臼井嘉彦
(東京医科大学准教授・眼科学)

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GLぶどう膜炎診療ガイドライン(2019)

ニュートピックス

・新型コロナワクチン接種後にぶどう膜炎を生じることがある.

治療のポイント

・ぶどう膜炎の治療の基本は薬物療法である.

・ステロイド(点眼,局所注射,全身投与),免疫抑制薬,TNF阻害薬を,炎症の程度により使い分けていく.

・感染性ぶどう膜炎に対しては,病原微生物に対する治療およびそれに付随した炎症反応の抑制を行う.安易なステロイドの単独投与により不可逆性の視機能障害に陥る可能性がある.

・再発し,遷延および重症化すると著しい視機能障害をきたしうるため,治療強化のタイミングを逃さず不可逆性の視機能障害が生じる前に治療を強化していく.

◆病態と診断

A病態

・ぶどう膜炎(内眼炎)は,ぶどう膜(虹彩,毛様体,脈絡膜)とそこに隣接する組織(網膜,硝子体,強膜など)に生じた炎症性眼疾患である.

・充血,霧視,羞明,視力低下,飛蚊症を自覚症状とし,重症例では失明に至る.

・さまざまな原因によりぶどう膜に炎症が起き,病因によって,感染性ぶどう膜炎と非感染性ぶどう膜炎に分類される.

・非感染性ぶどう膜炎は自己免疫機序が推測され,全身疾患に伴うものも多くみられる.日本では,サルコイドーシス,ベーチェット病,Vogt-小柳-原田病が多く,三大ぶどう膜炎とよばれている.

・感染性ぶどう膜炎は,ヘルペスウイルス,梅毒や結核菌,真菌や原虫により生じる.

・免疫チェックポイント阻害薬によってぶどう膜炎(特にVogt-小柳-原田病)の所見を呈することがある.

B診断

・診断するうえで詳細な問診が大切である.自己免疫疾患や感染症などの全身疾患との関連が深いため,過去または現在における全身症状や既往歴,薬剤,ワクチン接種歴を問診する.

・ぶどう膜炎の種類は多岐にわたるため,問診によりある程度絞り込みを行い,検眼鏡的所見を中心に,蛍光眼底造影検査,採血や眼内液検査

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