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治療

黄斑上膜,黄斑円孔
epimacular membrane and macular hole
森 圭介
(国際医療福祉大学教授・眼科学)

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治療のポイント

・黄斑上膜・黄斑円孔とも硝子体手術が唯一の治療法である.

・黄斑上膜は一般に進行はゆっくりであり,自覚症状に応じて手術を決定する.黄斑円孔は発症後経時的に術後成績が悪化するため,すみやかに手術を行うべきである.

Ⅰ.黄斑上膜

◆病態と診断

A病態

・発症の原因により,特発性と続発性に分けられる.中高齢者の1.3~18.5%程度に生じるとされており,頻度の高い疾患群である.

・特発性は,黄斑上に残存した後部硝子体皮質に網膜グリア細胞が増殖することで形成されると考えられている.続発性は,糖尿病網膜症,網膜静脈閉塞症,ぶどう膜炎,眼内炎,網膜剥離など,網膜面上に増殖性変化を起こす疾患に発症する.

・初期には膜は透明で,セロファン膜様の反射として観察されるのみで,自覚症状はないか,ごく軽微である.次第に増殖性変化が強くなると,網膜襞や網膜血管の蛇行,および膜の不透明化が進行し,視力低下変視などの視機能障害が進行し,また非可逆性となる.

B診断

・眼底検査により,上述の上膜および網膜の特徴的な変化が観察される.

光干渉断層計(OCT)では,より詳細に病態を描出することができる.網膜上膜が網膜の内層(硝子体側)に接するようにして,高輝度で観察される.進行に伴い,中心窩陥凹の消失,網膜内層の皺襞嚢胞様変化がみられる.さらに進行すると,変化は網膜全層に及ぶ.

・視力低下よりも先に変視症が進行することが多い.Amsler ChartやM-CHARTSは変視症を鋭敏に検出可能である.M-CHARTSは定量性がある.

◆治療方針

 治療法としては硝子体手術が唯一の選択肢である.現時点では,適応に関する統一された見解はなく,視力障害の程度と進行速度で判断する.術後徐々に変視は軽減し,術前の半分程度まで改善することが多いが,消失することはない.M-CHARTSの平均値が0.5以上で生活に支障

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