診療支援
治療

小児眼底疾患
pediatric retinal diseases
羅 錦營
(ら(羅)眼科・院長(静岡))

頻度 ときどきみる

Ⅰ.未熟児網膜症(ROP:retinopathy of prematurity)

◆病態と診断

A病態

・発達途上の網膜に起こる血管増殖性疾患である.病的血管新生と増殖には血管内皮増殖因子(VEGF)が関与している.

・血管新生と増殖が進行すると網膜剥離となって失明する.

・発現頻度や重症度を決める最も大きな要因は網膜血管の未熟性である.

・高濃度酸素は未熟児網膜症を悪化させる誘因である.

B診断

・病期分類を正確に知り現状を的確に診断することが重要である.「国際分類第3版(ICROP3)」では,zoneの変更(zone Ⅰ・後部zone Ⅱ,ノッチ湾入の定義),stage 5のサブ分類,正常からpreplus disease,plus diseaseまでの血管異常の連続スペクトルが存在するという認識,およびROPの退縮と再燃,長期的な後遺症について詳しく説明されている.

◆治療方針

A血管新生を抑えるための治療

1.光凝固

 現在の治療の第1選択である.新生血管を直接焼くのではなく,無血管領域を広範に凝固してVEGFの放出を抑えるのが目的である.治療時期は厚生省分類Ⅰ型3期の中期でさらに進行する場合,Ⅱ型では診断がつき次第光凝固する.

2.抗血管内皮増殖因子治療

Px処方例

 ラニビズマブ(ルセンティス)硝子体内注射液(10mg/mL) 1回0.02mL(製剤量として) 角膜輪部から1~1.5mmを計測し,硝子体内投与

B網膜剥離に対する治療

 従来のROPに対して,stage 4ではバックリング手術あるいは水晶体温存硝子体手術.Ⅱ型に対しては,stage 4の早期なら水晶体除去しての硝子体手術が有効である.

■帰してはいけない患者

・入院治療が原則.小児科の管理が必要.

Ⅱ.家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR:familial exudative vitreoretinopathy)

◆病態

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