診療支援
治療

眼外傷
ocular trauma
岩瀬 剛
(秋田大学大学院教授・眼科学)

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治療のポイント

・開放性外傷である眼球破裂や穿孔性眼外傷では,できるだけすみやかに緊急手術を考慮する.

・視機能障害を最小限に抑えるためには,疾患ごとに病態は異なるが,早急な診断・加療が必要となる.

◆病態と診断

A開放性外傷

・開放性外傷は眼球壁全層の損傷で,鈍的外力による衝撃により眼球が裂ける眼球破裂と,鋭利な物体により眼球が損傷する眼球穿孔に分けられ,眼球穿孔はさらに裂傷,眼内異物,二重穿孔に分類される.

・眼球穿孔では創部は比較的同定しやすいが,鈍的外傷による眼球破裂の場合は術前に創部の同定が困難な場合がある.そのため,CT超音波Bモード検査などで状況把握に努める.

・金属性の異物の有無を確認するには,CTが有効である.異物の素材が不明な場合には,鉄片などの可能性もあるのでMRIの撮像は禁忌である.

B非開放性外傷

・非開放性外傷は眼球打撲や眼球の非穿孔性創傷で,前房出血,外傷性白内障,水晶体脱臼,硝子体出血,網膜剥離,黄斑円孔,黄斑下出血などを生じる.

C眼窩外傷

1.骨

・鈍的打撲後に複視,眼球運動痛・障害があれば眼窩吹き抜け骨折を疑う.眼窩CT検査により診断する.

・眉毛外側の打撲直後から患側の視力低下が生じ,相対性求心性瞳孔反応欠損が検出されれば外傷性視神経症を疑い,CT検査を行う.

2.眼窩軟部組織

・眼窩血腫,外眼筋断裂,眼窩先端部症候群などがある.

3.付属器

・涙小管断裂,眼瞼裂傷などがある.

◆治療方針

A開放性外傷

 開放性外傷では視機能障害を最小限に抑えるために外科的手術を緊急的に行う.

1.眼球破裂

 鈍的外力による衝撃により生じる眼球破裂では,眼球赤道部と角膜輪部に破裂創が生じることが多く,まずは緊急的に一次縫合を行うことが重要である.最も重要なことは破裂創を突き止め,確実に縫合し眼球を閉鎖空間に保つことである.縫合後に硝子体手術を行う必要があるので,硝子体手術が

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