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GL形成外科診療ガイドライン 2 2021年版 頭蓋顎顔面疾患(先天性・後天性)
ニュートピックス
・先天性および後天性外耳道閉鎖症に対し,骨導インプラントBONEBRIDGEが保険収載され,補聴機器の選択肢が増えた.
治療のポイント
・両側小耳症・外耳道閉鎖症児は,言語発達の促進のため12か月以前からの骨導補聴器などによる早期補聴が重要である.
・小耳症手術は10歳以降で行われることが多い.健側耳介長と同等の第8肋軟骨長を有することを指標に手術時期を決定することは有用である.
・感染性耳瘻孔においては炎症消退後に摘出手術をすることが一般的とされているが,感染時でも瘻孔および肉芽組織の完全摘出のための工夫をすれば手術は可能である.
◆病態と診断
A病態
・外耳は,胎生6~7週に第1・第2鰓弓から発生する6個の小結節(耳介小丘)が癒合を重ねて形成され,この過程の途中に障害が起きることで,外耳の形態異常が発生する.
・埋没耳:耳介頭側の軟骨が頭部皮下に埋没した先天異常である.新生児の約0.2%にみられ自然軽快することはない.
・耳瘻孔:耳介および耳介周囲のさまざまな部位に生じる皮膚性の瘻管の総称であり,本邦での有病率は2~3%である.耳輪脚前上方に瘻孔を認める耳輪脚前部型が最も多く約85%を占め,次いで耳輪脚型が10%程度認められる.
・小耳症:耳介が低形成で,構成成分の一部あるいは大部分が欠損している状態とされ,外耳道の狭窄または閉鎖と中耳奇形を高率に合併する.
B診断
・耳介・外耳道の先天異常をもつすべての子どもは,生後数か月以内に聴性脳幹反応(ABR:auditory brainstem response)などの精密聴力検査を受ける必要がある.伝音難聴は難聴の約9割を占めるが,感音難聴を伴うこともある.
・小耳症は先天性外耳道狭窄症・閉鎖症を伴うことが多く,これらは先天性真珠腫性中耳